WHAT YOU CAN DO この記事を読んでできること

GA4の設置から、拡張計測、Search Console連携、成果イベントまで。BtoB企業・店舗・EC・メディアなど目的別の設定を、実際に操作できる順序で解説します。

Googleアナリティクス(GA4)を入れたものの、数字を眺めるだけになっていませんか。

中小企業のWeb担当者にとって重要なのは、すべての設定を使いこなすことではありません。自社サイトが何のためにあるのかを決め、その目的に必要なデータを間違いなく取ることです。

この記事では、初めて設定する人が管理画面を開きながら進められるよう、最初に必要な設定、業種別に追加する設定、設定後の確認方法を順番に説明します。すでにGA4を導入している場合は、途中のチェックから始めて構いません。

まず、自社サイトの「成果」を一つ決める

サイトのアクセス数が同じでも、会社によって評価は異なります。最初に「サイトに来た人に何をしてほしいか」を決めましょう。

会社・サイトのタイプまず見る数字成果として計測したい行動
BtoBのサービス会社・製造業サービスページの閲覧、検索・紹介からの流入問い合わせ・見積もり依頼の送信成功
地域の店舗・飲食店店舗情報やアクセス案内の閲覧予約完了。電話・地図リンクのクリックは補助指標
ECサイト商品閲覧、カート投入、購入までの離脱購入完了と売上
情報メディア・ブログ記事別閲覧、検索流入、読まれ方目的とする資料ダウンロード・会員登録・相談先への移動など
採用サイト募集要項の閲覧、応募フォームへの到達応募の送信成功

例えば、BtoB企業がフォームへの到達を「問い合わせ件数」として数えると、実際の引き合いを過大評価してしまいます。店舗サイトの地図リンクのクリックも、実際の来店数ではありません。

成果そのものと、成果に近づいた行動を分けることが、GA4設定の出発点です。

設定前の準備:Googleアカウントとサイトの権限

必要なものは、Googleアカウント、GA4を設定する権限、サイト側のタグを編集する手段です。

会社の計測データは、担当者個人ではなく、会社が継続的に管理できるGoogleアカウントに紐づけるのが基本です。外部の制作会社に設定してもらう場合も、自社に管理者権限を残し、制作会社には必要な範囲の権限を付与しましょう。

複数の別事業や独立したメディアを運営している場合は、原則としてサイトや事業の単位でGA4プロパティを分けると、集計を混同しにくくなります。一方、同じ顧客行動が複数ドメインにまたがる場合は、別の設計が必要になることがあります。

手順1:GA4プロパティとウェブデータストリームを用意する

Googleアナリティクスを開き、左下の「管理」から対象のアカウントとプロパティを確認します。まだプロパティがなければ「作成」から追加します。

  • プロパティ名:会社名・サイト名など、後から判別できる名前
  • レポートのタイムゾーン:日本で運営するなら日本
  • 通貨:国内の売上を扱うなら日本円
  • ウェブデータストリーム:サイトの正式URLを登録
  • 測定ID:**G-**で始まる文字列を控える

すでにプロパティがある場合、新たに同じサイト用のプロパティを作らないようにします。GA4では、管理 → データの収集と修正 → データ ストリームから登録内容を確認できます。

プロパティ作成時の「ビジネス目標」は何を選ぶ?

GA4の初期設定で、業種や事業規模を入力したあとに「ビジネス目標」を選ぶ画面が現れます。この選択は、プロパティに初期表示されるレポートの構成を決める重要な設定です。

おすすめの初期設定:作成画面に「ベースライン レポートの取得」が表示される場合は、原則としてこれだけを選んでください。 集客・エンゲージメント・収益化・維持率の基本レポートを最初から幅広く利用できるためです。特定の目標に絞らずサイト全体の状況を把握でき、GA4の操作方法を解説する一般的な資料に出てくる「ライフサイクル → エンゲージメント → イベント」なども最初から確認できます。

GA4の専門家である小川卓氏も、自身の解説記事で「ベースライン レポートの取得」を推奨しています。小川氏によれば、ベースラインはレポートの網羅性が最も高く、ほかのビジネス目標を選ぶと基本的な数値を確認するレポートが不足し、後から追加する手間が生じるためです。詳しくは小川卓氏「GA4プロパティ作成時の『ビジネス目標』に関して」を参照してください。

ビジネス目標の選択だけを考えるなら、一般的な企業サイトや情報メディアではベースライン1項目で十分です。 「見込み顧客の発掘」や「オンライン販売の促進」などを追加でチェックする必要はありません。そもそも「ベースライン レポートの取得」は、ほかのビジネス目標と同時に選択できません。特定目的のレポート構成を最初から優先したい場合は、その目的の選択肢を選ぶ方法もあります。

ただし、ベースラインを選ぶだけでは計測の設定は完了しません。 実際にサイトへGoogleタグを設置し、拡張計測機能を確認し、問い合わせ送信成功やアフィリエイト送客などの成果イベントは必要に応じて別途設定します。

画面に「ベースライン レポートの取得」がない場合:GA4の設定画面にはバージョンによる違いがあり、現行のGoogle公式ヘルプのビジネス目標一覧にはこの項目が記載されていない場合があります。そのときは無理に探さず、自社の目的に合った目標で作成し、レポート → ライブラリ → ライフサイクル → 公開と進めて、共通の基本レポートを表示させましょう。

初期画面の選択肢初期表示されるレポート コレクション主なレポート・向いている目的
見込み顧客の発掘ビジネス目標 → 見込み顧客の発掘ユーザー獲得、トラフィック獲得、見込み顧客の獲得、ランディングページ。問い合わせ・資料請求を増やしたい会社
オンライン販売の促進ビジネス目標 → オンライン販売の促進eコマース購入、プロモーション、購入経路、決済経路。自社ECなど
ブランド認知度の向上ビジネス目標 → ブランド認知度の向上Google広告キャンペーン、ユーザー属性、ページとスクリーン。認知拡大を重視
ユーザー行動の調査ビジネス目標 → ユーザー行動の調査イベント、ページとスクリーン。メディア・企業サイトの利用状況を知りたい場合
ベースライン レポートの取得ライフサイクル集客、エンゲージメント、収益化、維持率を一通り確認する基本レポート

ここが重要: 通常、新規プロパティの作成時に**「ベースライン レポートの取得」以外を選ぶと、ライフサイクルの代わりに「ビジネス目標」コレクションが表示されます**。そのため「レポート → ライフサイクル → エンゲージメント」が見当たらなくても、計測の失敗や手動の非表示設定とは限りません。これがGA4の初期表示の仕様です。

例外として、2023年3月27日より前に作ったプロパティや、設定アシスタントを使って旧ユニバーサル アナリティクスから移行したプロパティでは、ライフサイクルが最初から表示される場合があります。また、レポートの管理者がコレクションを公開・非公開に変更している場合もあります。

選択した目標に関係なく、ウェブデータストリームの拡張計測機能は通常デフォルトで有効です。 ビジネス目標によって関連レポート、推奨オーディエンス、推奨イベント・キーイベントなどが提案されたり、一部が自動的に有効になったりする場合はあります。しかし、フォーム送信成功(generate_lead)や購入成立(purchase)は、目標を選んだだけで自動的に正しく計測されるわけではありません。

中小企業のWeb担当者への結論: ベースラインの選択肢があれば、原則それを最優先に。表示されない、または他の目標で作成済みなら「ライフサイクル」を後から公開すればよく、プロパティもデータストリームも作り直す必要はありません。ベースラインの選択は、測定されるイベントを増やすためではなく、確認できる基本レポートを最初から幅広く揃えるためです。

出典:Google公式「ライフサイクル コレクション」「ビジネス目標別コレクション」。

ビジネス目標とデータストリームは、どうつながるのか?

GA4の構造は次のとおりです。

Google アナリティクスのアカウント
  └─ GA4プロパティ
       ├─ ビジネス目標(主にレポート・推奨設定)
       ├─ データストリーム:ウェブサイト
       │    ├─ Googleタグ(G-から始まる測定ID)
       │    └─ 拡張計測機能(ページビュー・スクロール等)
       └─ 収集されたイベント → レポート/キーイベント

ビジネス目標は「プロパティ」に設定するもので、データストリームごとに選ぶものではありません。 データストリームは、ウェブサイトまたはアプリからそのプロパティへデータを送り込む入口です。プロパティには複数のストリームを持たせることもできます。

例えば、「見込み顧客の発掘」を選んでからウェブデータストリームを作成しても、通常はそのストリームの拡張計測機能がオンになり、page_view、scroll、click などを計測できます。「売上の促進」を選んだ場合も、拡張計測機能の基本的な測定項目は同じです。ビジネス目標が違うからといって、拡張計測機能の7項目が業種別に入れ替わるわけではありません。

具体的な成果の計測は別途設定します。例えば、問い合わせサイトではgenerate_lead、自社ECではpurchaseを送る仕組みが必要です。イベントが送られているか、キーイベントに指定されているかも確認しましょう。

あとからビジネス目標は変更できる?

できます。管理 → プロパティの詳細 → ビジネスの目標から変更できます。Google公式によれば、後から切り替えても既存のデータや有効化済みの設定はそのまま維持されます。ただし、レポートのメニューは作成時期やレポート ライブラリの公開状態によって異なり、目標を切り替えただけでは表示中のレポート コレクションが自動更新されないことがあります。

例えば、あるGA4では「レポート → ライフサイクル → エンゲージメント」があり、別のGA4では「レポート → ビジネス目標 → ユーザー行動の調査」と表示されることがあります。これは計測の成否ではなく、レポートの初期構成が異なることが主な理由です。

「Webの実務」の場合: 記事からUMIBE公式サイトへの移動や将来の問い合わせを重視するなら「見込み顧客の発掘」、まず一通りの標準レポートを見たいなら「ベースライン レポートの取得」が候補です。実際の送客クリックは別途確認します。

「office-lab」の場合: 主な仕事はOffice情報の提供とAmazon・楽天への送客です。自社ECとして購入を完了させるサイトではないため、「オンライン販売の促進」を選んでもAmazon側の購入件数が自動収集されるわけではありません。新規に作るなら「ユーザー行動の調査」または「ベースライン レポートの取得」が選択肢で、送客はaffiliate_clickを別途計測します。すでに運用しているプロパティは作り直す必要がありません。

参考:Google「ビジネス目標」、Google「ビジネス目標別コレクション」、Google「Google アナリティクスの階層」。

手順2:サイトにGoogleタグを設置する

GA4でプロパティを作っただけでは、サイトの閲覧データは集まりません。Googleタグが実際のページで動いている必要があります。

WordPressでは利用中の公式連携やプラグインの設定、ShopifyなどのECではプラットフォームの連携、独自制作サイトではGoogleタグまたはGoogleタグマネージャー(GTM)など、サイトの構築方法に応じて設置します。

同じGA4測定IDに複数の方法からページビューを送信していないかを必ず確認してください。コードで直接設置したあと、GTMやCMS側にも同じタグを追加すると、二重計測の原因になります。

制作環境やプレビューURLのアクセスまで本番データに混ざらないよう、テスト環境の計測方針も決めておきます。

手順3:拡張計測機能で「何を測るか」を確認する

GA4では、新しいウェブデータストリームを作成すると、拡張計測機能が通常は初期状態でオンになっています。さらにGoogle公式ヘルプによると、Googleタグ側の自動イベント検出も、原則としてすべての種類が初期状態で有効です。

大切なのは、オンになっただけですべての種類のイベントが毎回発生するわけではないことです。実際に対象の行動が起きたとき、サイトの作りと計測条件に合致すれば、該当するイベントがGA4に送信されます。前提として、正式サイトにGoogleタグが設置され、正常に動いている必要があります。

設定画面はどこにある?

  1. Googleアナリティクスで対象のプロパティを開く。
  2. 画面左下の歯車アイコンから**「管理」**を開く。
  3. **「データの収集と修正」→「データ ストリーム」**をクリックする。
  4. 対象のウェブストリーム(例:https://web-jitsumu.com)を選択する。
  5. **「ウェブストリームの詳細」→「拡張計測機能」**のスイッチがオンか確認する。
  6. その横の歯車アイコンを開き、個別の計測項目を確認する。

通常はすでにオンなので、改めて有効化する必要はありません。オフの項目があれば、必要性とプライバシーへの影響を確認してから変更します。操作にはプロパティの編集者以上の権限が必要です。

GA4作成時のビジネス目標とは別の設定

先ほどの手順1で選ぶビジネス目標はプロパティ全体のレポートや推奨設定に関わり、ここで選ぶ拡張計測機能はウェブデータストリームから収集する具体的なイベントに関わります。目的に関わらず、拡張計測機能の基本項目は共通です。

初期状態でオンになる7つの測定項目

設定画面の項目イベント名具体的に何を測定するか測れないこと・注意点
ページビューpage_viewページを読み込んだとき。設定によりブラウザの履歴変更も検出「誰が熟読したか」は分からない。タグの二重設置に注意
スクロール数scrollそのページで初めて縦方向の約90%まで到達したとき途中の25%・50%などは標準では測らない。読了の証明ではない
離脱クリックclick別ドメインへのリンクをクリックしたとき(例:外部の公式サイトへ移動)サイト内リンクやすべてのボタンのクリックではない。クロスドメイン計測対象へのリンクは除外
サイト内検索view_search_results?q= や ?s= など、検索語を含むURLの検索結果ページが表示されたときサイト内検索がなければ発生しない。独自の検索URLではパラメータ設定が必要なことがある
動画エンゲージメントvideo_start、video_progress、video_complete対応するYouTube埋め込み動画の再生開始、進捗、終了すべての動画プレーヤーに対応するわけではない
ファイルのダウンロードfile_downloadPDF・Word・Excel・ZIPなど対応拡張子のファイルリンクをクリックしたときファイルの保存完了や閲覧完了を保証しない
フォームの操作form_start、form_submitフォームの入力開始と送信操作を検出したとき送信の成功・有効な問い合わせ成立を保証しない

Googleの説明では、スクロールは約90%到達時、動画進捗は10%・25%・50%・75%、サイト内検索の初期検出パラメータは q、s、search、query、keyword です。ファイルダウンロードの初期検出対象には、pdf、xlsx、docx、csv、zip などが含まれます。

なお、page_view 自体はGA4の自動収集イベントでもあり、公式ヘルプでは通常の収集をオフにできないと説明されています。詳細設定で変更できるのは、ブラウザの履歴変更に応じた追加ページビューの検出などです。

どの項目をオンにすればよい?

中小企業の一般的な情報サイトなら、ページビュー・スクロール・離脱クリックは基本的に有効なままでよいでしょう。サイト内検索・動画・ファイルダウンロードも、対応する機能を利用するなら有効にして確認します。該当する機能がないサイトでは、オンでもイベントは発生しません。

一方、フォームの操作は必ず実地確認しましょう。フォームの実装方法によってはイベントが取れなかったり、送信失敗も form_submit として記録されたりします。問い合わせ数を正しく計測するには、送信成功時に発生する別のイベント(例:generate_lead)が必要な場合があります。フォームの項目名や送信先のURLなどに個人情報が含まれないかにも注意します。

「何でもオンにしておけば成果を自動集計してくれる」わけではありません。 拡張計測機能は一般的なユーザー行動を自動で記録する仕組みで、問い合わせ完了・購入完了・アフィリエイト送客などの独自成果は別途設計が必要です。

例:外部リンククリックをオンにすると何が分かる?

例えば「Webの実務」の記事にあるUMIBE公式サイトへのリンクを押すと、拡張計測機能では click イベントが送信され、link_domain(リンク先ドメイン)などが記録されます。この値で umibe.studio へのクリックだけを絞り込めます。

ただし、外部リンククリックのclickはAmazon・楽天への送客専用イベントではありません。office-labで採用しているaffiliate_clickのように、Amazonと楽天だけを対象にして販売先(merchant)を区別したい場合は、追加のイベント計測を実装・確認します。拡張計測のclickと個別に実装したaffiliate_clickは別イベントとして記録される点にも注意します。

実際にクリック数が記録されたかはレポート → リアルタイムで確認できます。外部リンクのドメイン別内訳は、GA4の探索でlink_domainを使用して集計します。なお、個別にキーイベントを指定する操作はこの画面ではなく、後述の手順8で行います。

参考:Google公式「拡張計測機能イベント」「ウェブサイトでの離脱クリックを測定する」。

手順4:自分でサイトを開き、リアルタイムで確認する

設定したら、正式URLでサイトを開きます。そのうえで、GA4のレポート → リアルタイムを確認します。

  1. サイトのトップページを開く。
  2. 別の記事・サービスページへ移動する。
  3. GA4のリアルタイム画面に自分のアクセスやページ閲覧が届いているか確認する。
  4. 外部リンクやフォームの計測が必要なら、該当する操作をしてイベントを確かめる。
  5. 必要に応じてDebugViewやTag Assistantで詳しく検証する。

最初の表示には時間がかかることがあります。通常のレポートのデータ処理には24〜48時間程度かかる場合もあるため、リアルタイムで見えていても、すぐ通常レポートに出ないことがあります。

ここまで動作確認して、初めて「GA4の導入ができた」と考えましょう。

手順5:Search Consoleと連携する

Search ConsoleはGoogle検索でどう見つかったかを、GA4はサイトに来たあと何が起きたかを調べるものです。両方を使うと、記事やサービスページの改善につなげやすくなります。

GA4の管理 → サービス間のリンク設定 → Search Consoleとのリンク → リンクから、確認済みのSearch Consoleプロパティと対象のウェブデータストリームを選択します。

リンクにはGA4プロパティの編集者権限と、Search Console側の確認済み所有者権限が必要です。両者の数字は計測方法が違うため、Google検索のクリック数とGA4のセッション数が一致しなくても、それだけで設定ミスとは限りません。

手順6:データ保持期間を確認する

管理 → データの収集と修正 → データの保持で、イベントデータの保持期間を確認します。GA4の標準プロパティでは通常、初期設定は2か月で、14か月に変更できます。

ここで理解しておきたいのは、GA4には大きく分けて集計済みのデータとユーザー・イベント単位の詳細データがあることです。設定する保持期間は、主に後者を使った「データ探索」やファネルレポートに影響します。

後から調べたいこと保持期間が2か月の場合
半年前の月間アクセス数標準の集計レポートで原則確認できる
半年前の記事別閲覧数・流入経路標準の集計レポートで原則確認できる
半年前の訪問者がどのページを経由して問い合わせ画面へ進んだか詳細データを使う探索では原則確認できない
半年前の訪問者について、行動の順番や離脱地点を探索で調べる詳細データを使う探索では原則確認できない

例えば、10月に「4月に読まれた記事の閲覧数」を確認するだけなら、標準レポートで調べられます。一方、4月の訪問者が記事からどのページに進み、どこで離脱したのかをデータ探索で新たに分析するには、当時の詳細データが保持されている必要があります。

Googleは、データ保持設定が標準の集計レポートには影響せず、データ探索とファネルレポートに影響すると明記しています。すべての過去データが2か月で消えるわけではありません。ただし、標準レポートとデータ探索では、利用できる指標・分析方法も異なります。

14か月を検討したいのは、 記事の改善、問い合わせまでの導線分析、前年の近い時期との行動比較などを後から行う可能性があるサイトです。無料の標準プロパティでは、ユーザー・イベント単位の主な選択肢は2か月と14か月です。

注意点は次の3つです。

  • 削除済みデータは戻らない: 後から14か月に延ばしても、すでに削除された詳細データは復元できません。まだ削除されていない過去のデータには延長が適用されます。
  • 14か月ですべてが残るわけではない: 年齢・性別・インタレストなど、一部のデータの保持期間は別途2か月に制限されます。
  • 長ければ必ず正解ではない: 分析目的、プライバシー方針、データを必要以上に保存しないという考え方を踏まえて判断します。

「Webの実務」の場合: 今後、記事を見つけてからUMIBEのサイトへ移動するまでの行動を詳細に分析する可能性があるため、14か月にしておく意義があります。ただし、日々のアクセス数と記事別閲覧数だけを見る会社なら、2か月のままでも通常の分析は始められます。

設定を変更する場合は、管理画面で保持期間を選び**「保存」**します(編集者権限が必要)。設定変更の反映には24時間かかる場合があります。

手順7:社内アクセスを除外するか判断する

制作担当者が毎日自社サイトを開くと、小規模サイトでは分析結果に影響することがあります。

固定IPアドレスのあるオフィスなら、ウェブストリーム → タグ設定 → 内部トラフィックの定義でIP条件を登録し、データフィルタをテスト状態にして確認できます。

ただし、フィルタを「有効」にすると対象データは恒久的に除外されます。スマートフォンや自宅回線など、IPアドレスが変動する環境では、安易な除外はおすすめしません。

アクセスが少ないからといって、最初から無理に除外しなくても構いません。 設定前に、自社の利用環境を確認しましょう。

GA4の「レポート → エンゲージメント」が見当たらない場合

原因の第一候補は、プロパティ作成時に「ベースライン レポートの取得」以外のビジネス目標を選んだことです。 Googleの公式ヘルプによると、一般的な新規プロパティでは、ビジネス目標に合わせたコレクションがライフサイクルに代わって初期表示されます。「ライフサイクルが計測上無効になった」のではなく、レポートの初期メニューに含まれないという違いです。

「ベースライン レポートの取得」を選ぶと、ライフサイクル内に「集客」「エンゲージメント」「収益化」「維持率」が表示されます。レポート管理者が手動で公開状態を変更した場合や、旧プロパティからの移行の場合など、例外もあります。

これからGA4を作る場合: 初期設定画面に「ベースライン レポートの取得」があれば、このガイドでは単独で選ぶことを強く推奨します。表示されない場合や、すでに別のビジネス目標を選んだ場合は、後からライフサイクル コレクションを公開します。

イベント件数を調べるには、まず現在のメニューを確認します。

  • 「ライフサイクル」が表示される場合: レポート → ライフサイクル → エンゲージメント → イベント
  • 「ビジネス目標」が表示される場合: レポート → ビジネス目標 → ユーザー行動の調査 → イベント(該当するコレクションが公開されている場合)
  • どちらも見当たらない場合: レポート → リアルタイムの「イベント名ごとのイベント数」で直近の送信状況を確かめる。過去のイベント数を表示する通常レポートとは異なり、直近30分の確認用です。

「エンゲージメント」を左側のメニューに表示したい場合は、編集者または管理者の権限で次の操作を行います。

  1. GA4で対象プロパティを選び、左側の**「レポート」**を開く。
  2. レポートメニューの**一番下にある「ライブラリ」**をクリック。
  3. 「コレクション」の一覧で**「ライフサイクル」**を探す。
  4. 「ライフサイクル」カード右上の**「︙」→「公開」**を選択する。
  5. 左メニューに**「ライフサイクル → エンゲージメント」**が現れたか確認する。配下には「エンゲージメントの概要」「イベント」「ページとスクリーン」「ランディング ページ」などがある。

「ライブラリ」が見つからない場合は、権限を確認しましょう。すでに「公開」と表示されていればコレクションは公開済みであり、目的の項目がカスタマイズで削除されていないか確認します。

ビジネス目標やデータストリームを作り直す必要はありません。 これはレポートの表示メニューを追加する操作です。計測タグ・イベントの収集条件・キーイベントの設定自体は変更されません。

キーイベントとしてマークされているかの確認は、レポートメニューとは別に、管理 → データの表示 → イベント → キーイベントで行います。イベントの発生件数と、キーイベントへの指定状況は分けて確認してください。

参考:Google「ライフサイクル コレクション」、Google「ビジネス目標別コレクション」、Google「イベント レポート」。

手順8:キーイベントを実際に設定する

GA4では、会社にとって重要な行動をキーイベントとして指定できます。BtoB企業なら「問い合わせ送信成功」、ECなら「購入完了」、採用サイトなら「応募完了」が代表例です。

ここで区別したいのは、イベントを記録する仕組みを作ることと、記録済みのイベントをキーイベントに指定することです。後者だけ設定しても、イベント自体が送信されていなければ数字は増えません。

最初にGA4の管理 → データの表示 → イベントを開き、計測したい行動に該当するイベントがあるか確認しましょう。

イベントとキーイベントは何が違う?

イベントは、訪問者がサイトで行った操作をGA4に記録するものです。例えばpage_view(ページ閲覧)、scroll(約90%までスクロール)、click(外部リンククリック)などがあります。

キーイベントは、そのイベントの中から事業上の成果として特に重要なものを指定したものです。別の計測コードが必要になるわけではなく、送信されるイベントに対してキーイベントの印を付ける仕組みです。ただし、元のイベントが送信されていなければキーイベントにも計上されません。指定前のイベントにさかのぼってキーイベントの実績を付けることもできません。

イベントの状態GA4の扱い
ただのイベントイベント数として記録。ページ閲覧やスクロールなど日常的な操作
キーイベントにも指定したイベントイベント数に加え、重要な成果としてキーイベント数にも記録
キーイベントに指定したが、発生していないイベントキーイベントの設定一覧にはあっても実績は0件

初期状態でpurchaseだけがキーイベントにあるのは異常ではありません。 Googleはウェブサイトのpurchaseをデフォルトでキーイベントとして指定します。purchaseは予約済みの標準イベントであり、星マークがグレー表示になり、キーイベント指定を解除できない仕様です。これは設定ミスではないため、そのままで構いません。しかし、これによって購入イベントが自動収集されるわけではありません。購入成功時にpurchaseを送信するEC連携やサイト側の実装が必要です。アフィリエイトサイトではAmazon・楽天での購入実績は取得できず、purchaseの実績が0のままでも異常ではありません。

例:office-labのようなアフィリエイトメディアでは、自社サイトで購入を完了させないため、purchaseだけを見てもAmazon・楽天の送客成果は把握できません。まずサイト側のaffiliate_clickがGA4に届いているか確認し、必要であればaffiliate_clickをキーイベントに指定します。office_selector_result(購入診断の結果表示)は、診断の利用状況を分析する通常イベントとして利用し、事業上の主要成果にする場合だけキーイベントに追加します。

スペルにも注意: Google推奨の購入イベント名はpurchaseです。purchaceと入力すると別のイベント名になってしまいます。

8-1. すでに目的のイベントがある場合:星マークを付ける

  1. 左下の歯車から**「管理」**を開く。
  2. **「データの表示」→「イベント」**へ進む。
  3. 「最近のイベント」から成果に該当するイベント(例:generate_lead)を探す。
  4. イベント名の横にある星アイコンをクリックし、キーイベントとしてマークする。
  5. 「キーイベント」タブに追加されたか確認する。

キーイベントとして指定するには、通常マーケティング担当者以上の権限が必要です。すでにほかの設定でイベントが送信されているなら、新しいイベントを重複して作る必要はありません。

ただし、page_view や通常の click をそのままキーイベントにしないよう注意しましょう。ページ閲覧すべて、あるいは外部リンクすべてを成果として数えることになってしまいます。

8-2. まだイベントがない場合:送信完了ページから作る

問い合わせ完了後に専用の「送信ありがとうございました」ページへ移動するサイトなら、そのページの閲覧を条件としたイベントをGA4の管理画面で作成できます。

  1. 管理 → データの表示 → イベントを開く。
  2. **「+ イベントを作成」**をクリックする。
  3. 新しいイベント名に、問い合わせなら推奨イベントの generate_lead を入力する。
  4. **「キーイベントとしてマークを付ける」**をオンにする。
  5. 作成方法で**「コードなしで作成」**を選ぶ。
  6. 元になるイベントとして page_view を選択する。
  7. URL欄に、実際の送信完了ページのURL(例:https://example.com/contact/thanks/)を指定する。
  8. **「作成」**をクリックする。

これで、指定した完了ページを閲覧したときに generate_lead を発生させる設定になります。自社サイトに実在する完了ページのURLを使用してください。例のURLをそのまま入力してはいけません。

ただし、送信完了ページに誰でも直接アクセスできる、あるいは再読み込みできる構成では、実際の問い合わせ数より多く計測される可能性があります。テストで実際の送信数とのずれを確認しましょう。

8-3. 完了ページがないフォーム:送信成功時にイベントを送る

問い合わせフォームが同じ画面内で「送信しました」と表示する形式なら、上記の「完了ページのURL」を条件にする方法は使えません。

この場合は、フォームの送信成功が確定した処理から generate_lead を送るように、サイト側のコードまたはGoogleタグマネージャーなどで設定します。サイトの実装方法によって具体的な作業は異なります。

GA4の拡張計測機能で記録される form_submit も、実際の送信成功を保証するものではありません。入力エラーや通信失敗でも発生しないか確認し、むやみに form_submit 全体をキーイベントにしないようにします。

8-4. 設定できたかテストする

  1. 実際のフォームを正常に1回送信し、受信メールや受付記録でも成功を確かめる。
  2. GA4のレポート → リアルタイムを開く。
  3. **「イベント名ごとのキーイベント数」**に、設定したイベント(例:generate_lead)が現れるか確認する。
  4. 入力エラー・送信失敗・完了ページの再読み込みでは、誤って成果が増えないか確認する。
  5. 通常レポートへの反映も後から確認する。キーイベントの設定が反映されるまで数分から数時間、通常レポートへの表示は最大24時間程度かかる場合がある。

イベントのキーイベント指定は過去のデータに遡って適用されません。また、「イベントごとに1回」と「セッションごとに1回」では数え方が変わるため、重複の扱いに合わせて「キーイベント」タブのカウント方法も確認しましょう。

8-5. 「Webの実務」では何をキーイベントにする?

当メディアでは、まず記事の閲覧、検索流入、UMIBE公式サイトへの外部リンククリックを確認したいと考えています。

拡張計測機能の click では他社サイトへのリンクも含めた外部リンククリックが記録されるため、click 全体に星マークを付けるのは適切ではありません。

現段階では、データ探索で link_domain = umibe.studio に絞り込むことで、UMIBEへの移動を確認すれば十分です。今後これをキーイベントとして扱う必要が出てきたら、click のうちリンクドメインが umibe.studio のときだけ発生する独立したイベントを作成し、そのイベントに星マークを付けます。GoogleタグマネージャーやGA4のカスタムイベント条件など、サイトの環境に応じた実装を選びましょう。

なお、UMIBEのサイトへのクリックは実際の問い合わせ完了ではありません。問い合わせ数はUMIBE側で別途計測する必要があります。

詳しい失敗・成功・重複の判定は関連記事「GA4で問い合わせを測るには?最初に決めるイベントと確認手順」も参照してください。

業種ごとに、ここから追加する

サイトの目的追加したい計測最初から不要なこと
問い合わせ獲得送信成功、見積もり依頼、主要ページ閲覧あらゆるクリックのキーイベント化
店舗集客予約完了、電話・地図リンククリック地図クリックを来店件数とみなすこと
EC販売view_item、add_to_cart、begin_checkout、purchase などのECイベント購入ボタンの押下だけを購入件数にすること
コンテンツ運営記事別の検索流入、閲覧、主要な外部リンククリックscrollを読了率と断定すること
広告運用広告の成果計測、必要なGoogle広告連携、同意管理目的のない広告連携・Googleシグナルの有効化

外部の決済画面などを往復するサイトでは「不要な参照」の設定、複数のドメインをひと続きの利用として計測するサイトでは「クロスドメイン測定」を検討します。どちらもすべてのサイトに必要な設定ではありません。

実例:「Webの実務」なら何を設定するか

当メディア「Webの実務」は、記事を通じて中小企業の実務を支援し、必要なときに運営会社への相談につながることを目指すサイトです。ECサイトとは見るべき成果が異なります。

まず確認するのは、記事が検索で見つかり、読まれ、必要な人が運営会社のサイトへ移動しているかという流れです。

優先度計測するもの判断できること
必須page_viewと記事別表示どの記事が閲覧されたか
必須Search Consoleとの連携どの検索ニーズで見つかったか
必須リアルタイムでの計測確認タグが動作しているか
推奨UMIBE公式サイトへの外部リンククリック記事から次の接点へ進んだか
後日運営会社側の問い合わせ完了相談につながったか

GA4の拡張計測機能の click イベントには、外部リンクのドメインなどの情報が含まれます。探索 → 空白で「リンクドメイン」「リンクURL」「イベント数」を追加し、リンクドメインを umibe.studio で絞ると、サイトからの移動を確認できます。

ここで計測できるのはUMIBEへのリンククリック数であって、実際の問い合わせ件数ではありません。後日、UMIBE側の問い合わせ計測と合わせて評価します。また、別目的の運営サイト同士を、理由なくクロスドメイン測定で一体化する必要はありません。

個人情報と同意管理も確認する

Googleアナリティクスへ、メールアドレス、電話番号、氏名など、個人を特定できる情報を送信しないようにします。URLのパラメータ、フォーム情報、カスタムイベントの値に個人情報が混ざる設計にも注意してください。

サイトのプライバシーポリシーにアクセス解析について記載し、配信先の国・地域や利用する広告機能などに応じて、適用法令と必要な同意管理を確認します。広告向け機能やGoogleシグナルは、すべての会社が無条件に有効化するものではありません。

最後のチェックリスト:まずはここまでできればよい

  • 自社サイトの目的と、最も重要な成果を一つ決めた
  • GA4のプロパティ名・タイムゾーン・通貨を確認した
  • 正しい測定IDのタグを、二重計測せずに設置した
  • 拡張計測機能を確認した
  • 正式URLでリアルタイム計測を確認した
  • Search Consoleとの連携を確認した
  • データ保持期間と社内アクセスの扱いを判断した
  • 個人情報・プライバシーポリシー・同意管理を確認した
  • 会社の成果に直結するキーイベントを決め、必要なら実装計画を立てた

初日から難しい分析を始める必要はありません。まず正しく測れる状態をつくり、次に「1ページをどう改善するか」を判断できる状態にすることが大切です。

最初の1か月は、月間の合計アクセスだけでなく、重点ページへの流入と成果につながる行動を確認しましょう。数字が少ない時期に率だけで良し悪しを決めず、毎月同じ項目を記録することから始めるのがおすすめです。

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